北陸の経済ニュース 【11月18日04時12分更新】

派遣から直接雇用へ動く 北陸の製造業、派遣法見直し見据え
 北陸の製造業で、派遣社員を直接雇用に切り替える動きが出始めている。「派遣切り」 が社会問題化したことを受け、政府が製造業への派遣を原則禁止とする方針を示したため だ。金沢村田製作所(白山市)は派遣社員約250人の一部で直接雇用への切り替えを検 討している。一方、直接雇用にすれば、採用活動を自社で行う必要があり、経費削減を進 める各社から負担増を懸念する声が上がっている。

 「現場の作業部分を支えているのは派遣労働者。禁止となれば、工場が正常に機能しな い」。金沢村田の担当者は労働者派遣の見直しに危機感を強める。

 リーマンショック後、電子部品の需要急減で派遣社員を大幅に減らした同社だが、中国 を中心とした輸出回復に伴い、再び派遣社員を受け入れている。

 同社は年内をめどに派遣社員約250人の一部で直接雇用となる期間従業員への切り替 えを検討している。だが、直接雇用に当たり問題となっているのが採用活動だ。

 派遣社員の場合は、これまで派遣会社で労働者の採用を行ってきたが、直接雇用する場 合は、自社で採用を行う必要があるという。担当者は「募集から面接を行うコストと人手 が増えるのは困る」とする。

 また、同社では大型の受注があった場合、派遣労働者の数を増やして対応してきたが、 「採用までに時間が掛かり、急な受注に対応できるかわからない」とし、時間のロスを課 題に挙げる。

 ナナオ(白山市)は4〜9月に派遣社員を数十人規模で正社員化した。法改正を見据え た動きではないとするが、「仮に法改正があれば、海外に生産拠点を移管することも視野 に入れなければならない」(担当者)としている。オリエンタルチエン工業(白山市)で も、派遣社員数人を直接雇用に切り替えるかどうか検討を重ねているという。

 労働情勢に詳しい金大人間社会研究域経済学経営学系の澤田幹教授は、製造業への労働 者派遣が禁止されれば、生産の海外シフトが強まる可能性があると指摘する。直接雇用の 労働者が増えれば、企業は雇用調整を行いにくくなり、「東南アジアなど海外に工場を移 転する企業が増えるだろう。かえって国内の雇用が悪化するのではないか」とみている。

 中国など新興国向けの需要が増し、電子部品など一部で回復基調が見られる北陸の製造 業。しかし、労働者派遣法の見直しで、これまで増産現場を支えてきた派遣社員をフル活 用できない状況になれば、コスト面から足を引っ張られかねない。世界的な競争に勝ち残 り、生産変動の波を乗り切るためにも、各社は新たな労働体系に知恵を絞ることになりそ うだ。

 労働者派遣法の見直し 「派遣切り」が社会問題になったことを受け、民主党などが製 造業派遣の原則禁止などの規制強化をマニフェスト(政権公約)に掲げた。鳩山政権で議 論が進められており、来年の通常国会に改正案が提出される見通し。


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