きょうのコラム『時鐘』

2018/02/23 00:37

 幕末(ばくまつ)は何度(なんど)も大河(たいが)ドラマの舞台(ぶたい)になった。明治(めいじ)に入(はい)ると登場人物(とうじょうじんぶつ)の多(おお)くは県令(けんれい)・知事(ちじ)となって全国(ぜんこく)に散(ち)らばったため、ドラマの舞台は地方(ちほう)にも移(うつ)った

例(たと)えば「月形半平太(つきがたはんぺいた)」という芝居(しばい)がある。土佐(とさ)の武市(たけち)半平太など何人(なんにん)かモデルがいるらしいが、長州藩士(ちょうしゅうはんし)で初代(しょだい)富山(とやま)県令の国重正文(くにしげまさふみ)もその一人(ひとり)。京都(きょうと)の池田屋(いけだや)騒動(そうどう)から逃(のが)れ「半平太」の変名(へんめい)を使(つか)ったことでモデルになったという

石川(いしかわ)県令には土佐の岩村高俊(いわむらたかとし)がいる。坂本龍馬(さかもとりょうま)が暗殺(あんさつ)された後(あと)、犯人(はんにん)と目(もく)されるグループを襲(おそ)った武闘派(ぶとうは)だ。北越戦争(ほくえつせんそう)で長岡(ながおか)の河井継之助(かわいつぎのすけ)を死(し)に追(お)いやった悪役(あくやく)として民放(みんぽう)ドラマでは俳優(はいゆう)の中村獅童(なかむらしどう)が憎々(にくにく)しげな岩村役(やく)を演(えん)じた場面(ばめん)が懐(なつ)かしい

政府高官(せいふこうかん)というよりも、武勇伝(ぶゆうでん)を残(のこ)す志士(しし)と呼(よ)ぶのがふさわしいが、この二人(ふたり)は北陸(ほくりく)の教育基盤(きょういくきばん)を整(ととの)えた知事として名(な)を残す。折(おり)しも明治150年(ねん)。石川県知事選が始(はじ)まった。おそらく平成最後(へいせいさいご)の知事選となる

「現在(げんざい)」を採点(さいてん)するのか。それとも「未来(みらい)」を期待(きたい)するのか。政治家(せいじか)の評価(ひょうか)とは難(むずか)しい。維新期(いしんき)とは比(くら)べようもないが、21世紀(せいき)なりの波瀾万丈(はらんばんじょう)と地方の土台造(どだいづく)りを期待(きたい)したい。