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きょうのコラム「時鐘」 2012年5月17日
「五月蠅」と書いて「うるさい」と読む。きのうの漫画「ヒラリ君」で、おばあちゃんに教わった。「なるほど」とヒザを打つ人も、クビをかしげる世代も多いだろう
歳時記(さいじき)にハエは夏の季語(きご)とあるが、あまり見掛けなくなった。ハエには悪いが、寂しくも悲しくもない。人里離れた所で、ひそかに生き延びてほしいと願う ハエも人間に閉口(へいこう)しているかもしれない。「寝(ね)にもどるのみのわが部屋生くる蠅(はえ)つけて蠅取紙(はえとりがみ)ぶらさがる 寺山(てらやま)修司(しゅうじ)」。蛇足(だそく)だが、ハエ取り紙とは必殺ネバネバ生け捕(ど)り兵器のこと。こんな姿を詠(よ)まれては、ハエも生きる意欲が薄れよう 「やれ打つな蠅が手をすり足をする」。小林(こばやし)一茶(いっさ)の句を知って、何と心の優(やさ)しい人かと驚いた。やがて、人間とは建前(たてまえ)と本音(ほんね)を使い分ける生き物であると学んだ。一茶のことは知らないが、美しい言葉で裏腹(うらはら)な心を装(よそお)う人はいくらもいる きょうから消費税増税法案の本格審議が始まる。国家の一大事と身構えるのは建前。腹に一物(いちもつ)ある連中が敵味方入り乱れて足を引っ張る姿が想像できる。ハエは消えても、五月は「うるさい」時節のようである。 |