今日の社説

2016/05/26 01:28

サミット開幕 結束強め、牽引役果たそう

 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)がきょう開幕する。先進7カ国(G7)は、不透明さを増す世界経済の立て直しや国際秩序の安定に向け、どのようなメッセージを発信できるのか。テロ対策や難民問題、中東、北朝鮮情勢など、現下の政治・外交、安全保障に関する課題が山積している。

 中国やロシア、インドなどの新興国経済が減速し、オイルマネーで潤っていた中東諸国も原油安に苦しんでいる。今こそG7の結束を強め、世界経済や安全保障の分野で存在感を示し、牽引(けんいん)役を果たしたい。安倍晋三首相は、自由と民主主義、法の支配といった基本的価値を共有するG7の議長として議論をリードし、世界の平和と繁栄に貢献してほしい。

 経済については、首脳宣言「経済イニシアチブ」で、持続的成長のため金融政策、財政出動、構造改革の三つの政策を各国の事情に配慮して「総動員する」と明記する方向である。英独などは財政出動に消極的とされるが、世界経済の持続的な成長にはG7各国の積極的な取り組みが不可欠だ。アベノミクスと連動する「G7版三本の矢」で、協調を促したい。

 伊勢志摩サミットは、洞爺湖サミット以来8年ぶりにアジアで開催されるサミットであり、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題や、北朝鮮の核・ミサイル問題に懸念を示す良い機会である。欧州各国は中国と経済的な関係を深めているが、安全保障に関しては、中国に強い姿勢を打ち出す必要がある。北朝鮮の核・ミサイルについては、核不拡散と核軍縮につなげる意義を再確認し、「核なき世界」への思いを共有しておきたい。

 軍事力を背景に、中国やロシアが存在感を高める一方、中東では過激派組織「イスラム国」(IS)が台頭し、世界を揺るがすテロの震源地になっている。来月には英国の欧州連合(EU)脱退の是非を問う国民投票が行われ、米大統領選ではトランプ氏が共和党の指名を確実にするなど、戦後の国際秩序が揺らいでいる。G7各国は戦後秩序の危機を深刻に受け止め、「力による一方的な現状変更」に強く反対してもらいたい。

環境政策論の講座 保全意識を高める一助に

 富山県と県内7高等教育機関でつくる「大学コンソーシアム富山」は8月、県の環境施策などを学ぶ公開講座「環境政策論」を開催する。富山市で開催されたG7環境相会合で高まった環境保全の機運を持続させるため、環境立県を広く発信し、地域の将来を担う人材育成につなげる一助にしたい。

 先に開かれたG7環境相会合でまとまった「富山物質循環フレームワーク(枠組み)」の中には、食品ロスの削減や災害廃棄物の再利用の重要性を確認し、世界的に問題となっている海洋の微細プラスチックごみ対策などについても、各国の連携を強化していくことが盛り込まれた。

 G7の議論を引き継ぐ形で富山市で開かれた「北東アジア自治体環境専門家会合」でも、日本海沿岸の環境対策を話し合い、国境を越えて海洋ごみの発生の抑制などに取り組むことを盛り込んだ「2016とやま宣言」を採択した。

 同宣言では、海洋生物を指標とした気候変動の調査や、ペットボトルの回収・再利用といった具体的な行動を起こし、これらに市民が協力して取り組むことで、環境教育の推進につなげることも盛り込まれた。

 大学コンソーシアム富山の環境政策論もまた、環境教育の観点から県民に保全意識を浸透させる意味でうってつけだろう。講座は15回に分けて開かれ、県の職員らが講師を務め、大学コンソーシアム富山に加盟する大学の学生らのほか一般県民も受講できる。

 環境相会合の結果や意義を伝えるほか、昨年の全国豊かな海づくり大会で行われた海洋環境を保全する取り組み、イタイイタイ病の克服や砂防事業の歴史、小水力発電の推進、レジ袋の無料配布廃止などを紹介し、富山が独自に展開してきた特徴的な取り組みを総覧する内容になるようだ。

 ふるさとの環境に対する多様なアプローチを学ぶ場を提供することは、環境相会合の成果を具現化する人材の発掘にもつながる。学生や幅広い県民層に参加を呼び掛け、問題意識をもって地元の環境に目を向けるきっかけにしたい。