今日の社説

2016/09/25 01:09

臨時国会召集 補正予算の成立が最優先

 あす召集される臨時国会の焦点は、環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案の成立である。米大統領候補の2氏がともにTPP反対を明言しており、米国に次いで市場規模が大きい日本での法案審議は、TPPの行方を大きく左右するだろう。

 安倍政権としては、11月8日の米大統領選をにらみ、米国に承認を促す狙いもある。日本農業の将来を見据え、長期的視野に立った論議を期待したい。

 TPPと並ぶもう一つの焦点は第2次補正予算の成立である。新興国経済の減速で世界経済の不透明感が増し、国内消費の低迷もあってデフレ脱却のシナリオが危うくなっている。需要喚起のための財政政策が必要なタイミングである。2カ月程度の会期の中で、TPPの審議時間を十分に確保する意味でも最優先課題として取り組み、早期成立を目指してほしい。

 第2次補正予算案は、一般会計の歳出規模が4兆1143億円となり、事業規模28・1兆円の経済対策の第1弾に位置付けられる。補正予算案とは別に、財政投融資を活用し、リニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに1兆5千億円、整備新幹線の建設に8279億円を充てる。

 インフラ整備には、今なお風当たりが強いが、インバウンド(訪日外国人)需要が高い大型旅客船着岸のための港湾整備や農産物の輸出に必要な拠点の整備事業などは、高い投資効果が期待できる分野だろう。北陸新幹線の整備は、その代表格といえ、早期の敦賀開業、大阪延伸を実現するためにも第2次補正予算の成立を急ぐ必要がある。

 財源については建設国債2兆7500億円を追加発行するなど、借金に頼らざるを得ず、財政健全化が遅れることを不安視する声もある。だが、大型の補正予算で景気を下支えし、国内総生産(GDP)を押し上げれば、いずれ税収増という形で回収できる。

 安倍晋三首相は先の参院選でも「アベノミクスのエンジンを最大にふかす」と強調してきた。世界経済の先行きが怪しい今は、財政健全化より、需要喚起に傾注すべき時期であり、首相の判断は間違っていない。

アニメの聖地・富山 クロムクロ効果で連携を

 富山県内の風景が随所に登場する人気アニメ「クロムクロ」の舞台を訪れるファンが増えている。国内のテレビ放映のほか、米の動画配信大手が190カ国に配信しており、海外のファンからも高い関心を集めている。劇中に取り上げられた県内の関係自治体や経済団体がクロムクロというキーワードで連携して「聖地」を発信すれば、富山のいまの魅力をアピールするチャンスになる。

 南砺市に本社を置くピーエーワークスが制作を手がけるクロムクロは、富山を舞台に、現代に現れた戦国武士が女子高生とともにロボットを操り、宇宙から来た「鬼」と戦うストーリーで、4月からチューリップテレビなどで放映されている。黒部ダムや立山連峰、新湊大橋、富山空港など県内のおなじみのスポットが、アニメらしいシンプル感で描かれている。

 ロボットの戦いの舞台となった富山市の市役所展望台ではパネル展が開催され、各地からファンが訪れている。海外でも高岡銅器製のロボットの胸像が米国のアニメイベントに出品され、好評を博した。また富山空港内の回転すし店では、ストーリーの中に登場するカレー入りおにぎりも発売されるなど、「クロムクロづくし」と言えそうな盛り上がりである。

 県内では南砺市城端一帯が人気アニメの舞台のモデルとなったことで、今も多数のファンの来訪があり、こうした知名度を受けて、ことしの城端むぎや祭の期間中、動画配信サイト「ニコニコ動画」のユーザー参加型イベントが開かれ、全国から訪れたアニメファンらで大いに盛り上がった。

 クロムクロの放映を受けて、県内のゆかりの地を紹介した探訪マップも作成されたが、アニメによる「聖地効果」を県内全域に広げるためにも、関係地域の連携による斬新な取り組みを期待したい。

 金沢市湯涌温泉が舞台となったアニメ「花咲くいろは」にちなみ地元では劇中のぼんぼり祭りを再現した。5年目となった昨年は1万4千人が訪れる人気イベントに成長した。こうした手法も参考にしながら、クロムクロ効果をつないでいく工夫も求められる。