今日の社説

2017/01/21 03:27

便数維持の羽田便 新幹線との共存に手応えも

 富山空港を発着する羽田便は3月に始まる夏ダイヤで現行の便数が維持されることになった。全日本空輸は昨年3月に富山発、羽田発とも1日6便を4便に減らしたが、今年の夏ダイヤでは便数を変更しない。

 小松空港でも全日空は1日4往復を維持し、日本航空は1日6往復の運航体制を保つ。

 新幹線開業で大幅に減った羽田便の利用者には、開業3年目を前にして下げ止まりの兆しがうかがえるようになった。先行きは楽観できないが、北陸新幹線との共存に手応えも出てきたのではないか。使いやすさに配慮したダイヤ改正を生かして、羽田便の維持に道筋を付けたい。

 小松-羽田便では、新幹線が開業した2015年度上半期に利用者が前年同期より35・9%も減ったが、16年度上期は3・3%減にとどまった。日航は便数を維持して全日空が減便した昼間の需要を取り込んでおり、新幹線との「共存共栄はできる」とみている。

 全日空は3月から需要動向に応じて機材を変更する。富山、小松の羽田便とも繁忙期には現在より座席数の多い機材を投入するという。利便性を上げて収益機会を逃さないように工夫を凝らす姿勢は心強く、路線維持を目指す意欲の表れとして期待したい。

 今年度は羽田での乗り継ぎで割引対象となる区間が増え、国際線への乗り継ぎも便利になった。富山と羽田を結ぶ便では、昨年10月からの冬ダイヤで羽田を出る初便の出発時間を早めたところ、ビジネス客が増えたという。知恵を絞れば潜在需要をさらに掘り起こすことが可能だろう。

 行政の取り組みも重要性を増す。富山では乗車時間の短い新幹線に羽田便の需要が流れやすく、県は富山空港の利用圏域と位置付ける岐阜県の飛騨地方で需要開拓に一層力を入れる必要がある。

 石川県は羽田便がない福井県で小松空港の利用を促している。北陸新幹線が2022年度に敦賀まで開業する前に福井で羽田便の需要を根付かせておきたい。

 羽田便は夏ダイヤで減便がさらなる減便を招く悪循環を回避できたとしても、存続の正念場が続くのは間違いない。

施政方針演説 経済再生の使命、全うを

 安倍晋三首相が行った政権復帰後5回目の施政方針演説は、従来とは異なり、冒頭で外交政策を論じる異例のかたちとなった。トランプ米新政権の発足で日米関係や国際政治に不確実性がつきまとうなか、日米同盟の堅持や自由、民主、法の支配といった基本的価値に基づく「ぶれない外交」を強調した。

 基本的価値を共有する国々との連携でアジア太平洋地域の平和と繁栄を維持し、「自由貿易の旗手」として公正なルールに基づく21世紀型の経済体制を構築するという意気込みはよい。

 外交・安全保障政策が前に出た分、経済政策が後退した格好であるが、安倍政権が最優先で取り組むべき課題が「経済再生」であることに依然変わりはない。デフレからの脱却はなお道半ばで、アベノミクスが息切れ気味なことも否定できない。脱デフレの道筋を描き切れないもどかしさが、外交に力点を置く演説構成ににじんでいるようにも思われるが、まず2017年度予算案に盛り込まれた各種政策を着実に実行し、政権の使命ともいえる経済再生に全力を挙げてもらいたい。

 安倍首相が強調した内政の重要政策は、アベノミクスで動き始めた「経済の好循環」の進展、1億総活躍の国づくり、その一環としての働き方改革、地方創生、産業の革新をもたらす規制改革などである。首相が演説で再三強調した「結果」をこれらの政策で出さなければならない。「経済再生と財政再建、社会保障改革の三つを同時に実現しながら1億総活躍の未来を切り開く」という困難な道に挑む決意を本当に実現できるか、安倍政権は政策運営の正念場を迎えているともいえる。

 安倍首相は今回の施政方針演説で「未来」というキーワードを繰り返した。憲法施行70年の節目を迎え、この先、どのような国にしていくのかの議論を憲法審査会に求めた。安倍首相は政策がめざす社会の姿を各種示したが、国の未来像を語ったとはいえない。次なる70年を見据えて、どのような国家像を描くか、文字通り骨太の議論を国会に望みたい。