今日の社説

2017/12/14 01:27

「富富富」本格栽培へ 認知度高めるには量も必要

 来年から本格的な栽培が始まる富山米の新品種「富富富(ふふふ)」の生産者登録で、最大1千ヘクタールの作付け分に対し、当初の期限である11月末時点の応募が400ヘクタールにとどまった。富山県は登録期限を今月12日まで延長したが、大幅な増加は見込めないという。

 石井隆一知事は県議会での答弁で、栽培面積が想定を下回ったことに関して、「高い品質が確保されることを最優先する」と述べている。むろん、富富富にはプレミアム米にふさわしい高い品質が求められるのは言うまでもないが、各県がこぞって新ブランド米を投入する中で認知度を高めていくには、品質と同時に、量を確保することが欠かせない。

 生産者登録が思ったほどに伸びない理由について、県は、県産コシヒカリの価格が堅調であることや、富富富の厳しい栽培・出荷基準、富富富とコシヒカリとの併用栽培に対する抵抗感などを挙げている。富富富は今秋の試験販売などで消費者から高い評価を得ているが、農家の立場からすれば新品種の栽培には慎重にならざるを得ないのだろうか。

 県は登録生産者を対象に来年2月下旬に栽培研修会を開き、策定中の栽培マニュアルを提示する。富富富はコシヒカリに比べて草丈が短く、倒伏しにくい上、いもち病にも強いのが特徴とされる。本来はコシヒカリより栽培しやすいはずであり、県はJAとも連携して19年産以降の生産者の確保に積極的に取り組んでもらいたい。

 県議会の答弁では、他県の新ブランド米の栽培面積にも触れ、石川の「ひゃくまん穀(ごく)」は来年産で500ヘクタール、福井の「いちほまれ」は700ヘクタールとの説明があった。ただ、新潟の「新之助(しんのすけ)」は市場デビューした今年が1千ヘクタール余りで、さらに来年には倍増させる方針が示されている。

 県は来年産水稲の生産振興基本方針の中で富富富を県トップブランド米に位置づけているが、品質と量がそろってこそのトップブランドと言えるだろう。来年産からは富富富の栽培基準チェックリストを導入する予定であり、市場で確固たる評価を得て、生産者の拡大につなげていきたい。

宇宙開発の新目標 日本ならではの技術力を

 トランプ米大統領が、月面に宇宙飛行士を送り込み、火星探査のための基地を建設する方針を大統領覚書で明示した。これに合わせるように日本政府の宇宙開発戦略本部も、米国のめざす月周回の新宇宙ステーション計画や、国際協力による有人月探査への参加を検討することを決めた。国際協力による宇宙開発で日本が存在感を発揮するには、国際的に一目置かれるほどの独自の技術力が必要である。

 トランプ大統領は、基本的に前政権の路線を踏襲しながら、より明確な目標を掲げて宇宙開発に取り組む強い意欲を示した。ただ、月面探査の時期や予算などについて具体的に言及せず、先行きに不透明感も漂っている。

 そうした米国の宇宙開発計画に追随して日本が月をめざす意義を問う声も聞かれるが、2020年代後半の完成をめざす米国の月ステーション計画は、今年9月、ロシアが協力を表明して現実味を増している。また、欧州宇宙機関は月面に有人基地を造る構想を掲げ、中国も独自に月面基地計画を練っている。月をめぐる宇宙開発で日本が発言権を確保していくためにも米国の計画に参加し、日本ならではの技術力を高めていくことは重要であろう。

 日本の月面探査で注目されるのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発する無人の小型探査機(SLIM)である。打ち上げは当初計画より1年延びて20年度になったが、JAXAはこの実証機で「降りたいところに降りられる」高精度の着陸技術を確立し、宇宙飛行士がステーションと月面を行き来する離着陸機の開発をめざすことにしている。

 一方、民間でも月面探査車の打ち上げ準備が進められている。ベンチャー企業を中心にしたチームが、月面を移動して高解像度の映像を地球に送る探査車の国際コンテストに挑戦するという。探査車は来年1~3月にインドのロケットで打ち上げられることになっている。欧米の宇宙開発は従来の政府主導から民間主導へと変化している。日本企業も宇宙ビジネスでもっと力をつけてほしい。