今日の社説

2018/06/23 01:23

ブロック塀倒壊 耐用年数30年超えてないか

 自宅やご近所の家などに、もしブロック塀があったら、この週末にも安全点検をしてほしい。地震に備え、特に高い塀があるようなら念入りに調べる必要がある。

 国土交通省が大阪府北部地震を受け、ブロック塀の所有者に要請した安全項目は五つ。▽高さが2・2メートル以下▽厚さ10センチ以上▽強度を高める「控え壁」があるか▽地中に基礎はあるか▽傾き、ひび割れがないか。もし自分では判断ができないと感じたら、専門業者に診断してもらうのが一番だ。

 地震でブロック塀が倒壊し、死者が出たのは今回が初めてではない。1978年の宮城県沖地震では、死者28人のうち18人が倒れたブロック塀などの下敷きになって命を落とした。

 このときの教訓を元にブロック塀の耐震基準が引き上げられ、高さを2・2メートル以下などとした新たな基準が設けられた。点検項目は、この新基準の規定を満たしているかを知る目安となる。

 だが、条件を満たし、一見して危険がないようにみえても安心はできない。日本建築学会によると、新基準に合致するブロック塀でも20年過ぎると劣化が加速し、耐用年数は30年程度という。旧基準のもの、さらに新基準を満たしていても耐用年数を過ぎた古いブロック塀が県内各地に多数あると思わねばならない。

 2007年3月の能登半島地震でも多くのブロック塀が倒れ、下敷きになった男性が足を骨折した。地元のコンクリートブロック施工業協同組合が被災した地域を調査したところ、高さ約2メートルのブロック塀が倒壊していない一方で、低くても倒れた古いブロック塀が多くあった。内部の鉄筋の間隔が基準より広すぎるもの、「控え壁」がない個所で倒壊がみられたという。

 ブロック塀のような私的財産の安全管理は所有者の責任であり、倒壊して人災、物損などが起きた場合、民法上は建築主が賠償責任を負う。問題がありそうなブロック塀が身近にあるなら、所有者に一声掛けてみてほしい。子どもとともに学校まで通学路を歩き、危険なブロック塀がないか確認しておく必要もある。

参院選制度見直し 小手先の改革いつまで

 自民党が参院選の「1票の格差」是正のための公選法改正案を参院に提出した。鳥取・島根、徳島・高知の合区選挙区を維持しながら定数を6増やす選挙制度改正案は、最大格差を3倍未満に抑える小手先の改革であり、2015年の公選法改正で約束した「抜本的見直し」にはほど遠いと言わざるを得ない。

 19年参院選前までに「必ず結論を得る」と明記した公選法の付則がほごにされた形であるが、時間的な制約のなか、与野党協議で選挙制度の根本的な見直し案をまとめることの難しさをあらためて浮き彫りにしている。

 与野党は昨年2月、参院改革協議会を設置し、その下に置かれた専門委員会が計17回に及んだ協議の報告書を今年5月に提出している。党見解として、自民党が憲法改正を通じて合区を解消し、都道府県単位の選挙区を維持する案を提示したのをはじめ、地域ブロックの大選挙区制やブロック選挙区と全国比例の併用案などが出されたが、協議のテーマは参院の在り方や1票の格差の許容範囲など多岐にわたり、報告書の内容はまさに議論百出である。

 議員定数については、人口が減少するなか、自ら身を切る改革が必要という意見の一方、人口当たりの議員数が欧州先進国に比べて少ないことを指摘し、格差是正のために一定の定数増は避けられないという意見や、議員歳費を減らし、浮いた財源で定数を増やすといった提案も聞かれた。

 変則的な格差是正方法として、1選挙区で複数候補に投票できる「連記制」や、定数1の選挙区を認め、その選挙区に限り6年ごとの改選とする案も出された。それぞれ一理ある案だが、1人1票の原則に反する、投票機会の平等が損なわれるとの反論が出され、議論だけに終わっている。

 政党の利害、消長に関わる選挙制度の抜本改革は意見の集約が難しく、ましてや憲法改正によって合区を解消する自民党の改革案の実現は至難である。参院の在り方を含めた抜本改革には、休眠状態の選挙制度審議会の活用を考える必要もあるのではないか。