今日の社説

2017/10/19 01:11

氷見の観光連携 東海地方との縁を深めたい

 氷見市観光協会と三重県菰野(こもの)町観光協会が友好提携を結び、スポーツ交流や海外客誘致で連携することになった。氷見市観光協会はこれまで、「京浜工業地帯の父」と称される同市出身の実業家・浅野総一郎の縁で、川崎市観光協会との間で友好提携を結び、人的交流や特産品の紹介イベントなどを通じて着実に実りを生んでいる。首都圏に続き、東海方面との連携を強め、氷見を広域発信する起爆剤にしたい。

 川崎市との間では、観光協会のみならず、行政や経済団体の間で相互訪問や、寒ブリ料理を味わいながら相互交流を深める「懇親会」を開くなど一段と広がりを持ってきている。菰野町との間でも観光協会を起点に、より多様な関係団体間の交流につなげていきたい。

 菰野町は鈴鹿山麓の人口4万人の町で、紅葉の名所として知られる御在所岳にはロープウエーがあり多くの観光客が訪れる。「海越しの立山連峰」の世界遺産登録運動を展開する氷見との間で、互いの風光明媚な自然を生かした連携のメニューを煮詰めたい。

 また両市町はともにハンドボールが盛んで、氷見で開かれている春の全国中学生ハンドボール選手権で、互いの中学校同士が対戦したこともある。自然体験やスポーツ合宿などを通して、児童生徒の定期交流を呼び掛けていきたい。マコモタケが特産品であるという共通点もあり、両市町で料理法や特産品の開発などで知恵を出し合うことができるだろう。

 北陸・中部地方では、富山、三重も含めた9県が協力して外国人旅行者を各地に呼び込む「昇龍道プロジェクト」が、さまざまな形で推進されている。著名な観光地巡りもさることながら、両市町のように、まだまだ海外客に知られていない観光の鉱脈にスポットを当てることも大切だろう。

 氷見市では、民宿グループが、同市の観光バス会社と連携して、台湾からの団体客の受け入れに本腰を入れている。両観光協会も昇龍道プロジェクトの協力関係を活用しながら、新幹線や北陸自動車道、東海北陸自動車道を大動脈として、2地域を結ぶ意外性のある企画を練り上げたい。

安全保障政策 現実の脅威を見据えよう

 衆院選の公約で、各党の主張が真っ向から対立するものの一つに安全保障関連法がある。自民、公明両党が緊迫する北朝鮮情勢を背景に安保法制の重要性を強調する一方、立憲民主党や共産党、社民党などは憲法違反などとして廃止を訴えている。

 前回衆院選で与党は安保法制を選挙公約に掲げなかった。このことを野党は強く批判しており、今選挙は安保法制の是非をあらためて国民に問う機会でもある。自民党が公約の一番目に掲げた「北朝鮮の脅威から国民を守る」ことに安保法制は役立っているのか。抽象論ではなく、現実の脅威を見据えた論議を求めたい。

 これまで海上自衛隊の悩みは、近くの米艦船が攻撃された時に対応する法的根拠のあいまいさにあった。安保法制の施行により、米軍艦船を守る「米艦防護」が可能になった。海自が燃料や物資を補給することで、米艦船が母港に戻らなくても警戒任務などを続けられる利点もある。安倍晋三首相は「(安保法制を)やめれば、日米同盟が打撃を受けることは間違いない。トランプ政権ができて、私はそのことをひしひしと感じながら、この法律を作っておいて本当によかった」と述べている。

 希望の党の小池百合子代表は安保法制に賛成の立場で、反対していた民進党からの合流議員に「踏み絵」を踏ませた。日本維新の会は「現実に即応した外交・安全保障政策」を掲げながらも、集団的自衛権行使の要件の厳格化を求めており、中立に近い立場である。

 一方、希望の党と袂(たもと)を分かった民進党出身者が主体の立憲民主党は、専守防衛を徹底する観点から「いったん廃止して白紙化すべき」としている。同党と選挙戦で共闘する共産党、社民党は「万一、米朝間で軍事衝突が起こった場合、国民が知らないところで日本が自動的に参戦し、戦争の当事者となる危険が高い」などとして廃止を要求している。

 安保法制は北朝鮮有事の抑止力に役立つのか。それとも日本が戦闘に巻き込まれる危険を高めるだけなのか。有権者の冷静な判断が求められよう。