今日の社説

2016/12/05 01:11

羽田便4往復維持 今が正念場の覚悟で対策を

 富山県は富山―羽田便の1日4往復を維持するため、とくに利用率が低い初便と最終便の利用促進に向けて対策の検討に入った。羽田便は北陸新幹線開業の影響で今年3月に2往復が減便されたが、運航する全日空は路線として黒字化に至っていないとしている。冬場には来年の夏ダイヤが決まる見込みであり、今が正念場の覚悟を持って早急にてこ入れを図ってもらいたい。

 全日空によると、今年4~9月の羽田便の利用率は全体で71・2%と、1日6往復だった前年同期の67・1%より改善した。ただ、第2便と第3便の利用率が約80%なのに対して、初便と最終便は60%程度に低迷している。

 こうした状況から、全日空は県との協議会で、来年度以降の事業計画は策定中であり、あらためて調整させてもらうとして、4往復維持を確約しなかった。県の利用促進策と成果を見極めて判断するということだろう。

 夏ダイヤは例年、1月下旬ごろに発表されており、利用促進を求められた県としては、この1カ月余りで成果を示さなければならない。時間は限られているが、市町村や経済団体などに広く協力を要請し、「オール富山」で減便に歯止めをかける必要がある。

 羽田便の行方は富山空港の経営に大きく影響する。県によると、昨年度の富山空港の収支は約3億2千万円の支出超過になった。羽田便の小型化などで着陸料が約1億5千万円減ったことが影響している。今年度は羽田便の減便で、さらに減収の見込みという。

 県は富山空港の経済波及効果を年間約85億円と試算し、「ビジネスや観光にとって不可欠の社会基盤」と位置づけている。北陸新幹線が開業したとはいえ、富山空港の重要性は変わっていない。その基幹になるのが羽田便であり、これ以上の減便は何としても避けなければならない。

 全日空は10月からの冬ダイヤで羽田発の初便の出発時刻を45分早め、利用率の向上に結びつけた。県の利用促進策と同時に、全日空側も利用客のニーズを反映したダイヤの設定など、需要の掘り起こしに努めてもらいたい。

北陸の山城 郷土の歴史知る教科書

 全国的な城ブームの中、富山県内の山城を代表する「越中三大山城」や七尾市の七尾城で、シンポジウム開催や発掘調査などで城の歴史や文化的価値に光を当てる動きが広がっている。

 越中三大山城や七尾城は、神保長職(ながもと)、上杉謙信、佐々成政、前田利家、畠山氏などが活躍した時代のいわば生きた歴史の教科書である。

 国史跡七尾城跡では来年度に城跡保存活用計画が策定されるほか一般財団法人北國総合研究所(金沢市)が調査事業「能登畠山文化の源流をゆく」を実施している。

 富山県では、城は約400カ所が確認されており、山城が多数を占めている。その中でも国史跡増山城跡(砺波市)、県史跡松倉城跡(魚津市)、市史跡守山城跡(高岡市)が規模の大きさなどから、「越中三大山城」と称される。三大山城の保全活用を進めることで、山城が多い富山全体の歴史や文化を再認識する機運も高まるだろう。三大山城の価値を高め、一体となって魅力を発信したい。

 三大山城は、戦いの拠点で歴史ロマンに満ちた物語がある。歴史や伝承を知るほど城や地域に興味が湧き、理解が深まる。先日、高岡市で開催された越中三大山城シンポジウムでは、三大山城について講演や対談などが行われた。今後も幅広い層が興味を持つような機会を設けてもらいたい。市民の関心の高まりが、城の保全活用を後押しするだろう。

 増山城跡では、国史跡指定を記念して、増山城戦国祭りが行われるなど、地域活性化を図り、地元住民らが環境整備も行っている。城跡を守り、遺産を生かす取り組みをさらに広げていきたい。

 松倉城跡でも戦国のろし祭りが開催されており、8月からは魚津市教委が発掘調査を実施している。地元の児童も発掘調査を体験するなど、城跡はふるさと教育の格好の場でもある。守山城跡は2014年に市史跡に指定され、高岡市は資料が少ない市の中世史を明らかにする上で重要な位置を占めるとしている。今後も地道に調査を重ねて、城の全容に迫ってもらいたい。