今日の社説

2017/06/25 00:52

がんプロの養成 水準向上で北陸に安心を

 北陸3県と長野県の大学が連携して、がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)の養成に取り組む。金沢大学、富山大学など北陸の5大学は10年間にわたって、がんプロを育てるための基盤整備を進めてきた。今年度からは新たに信州大学が加わって養成プランの拡充を目指す。

 国民の2人に1人は、がんにかかるとされる。死因としては最も多い疾患である。懸命に闘病した小林麻央さんが亡くなったことで、がん医療充実の重要性をあらためて実感した人は多いだろう。

 医療水準の向上に欠かせないのは人材の養成である。6大学が得意分野を生かしていけば、これまでに築いた養成基盤の幅と厚みが増すことを期待できる。大学連携で北陸の医療水準を引き上げて、安心をもたらしてほしい。

 6大学は、がん専門医療人の養成プランを「北信がんプロ」と名付け、文部科学省の支援事業に選ばれた。金大と信州大は患者のゲノム(全遺伝情報)を調べて適した治療法を選ぶ「がんゲノム医療」、富大は高齢者がん対策、金沢医科大は希少がんの病理診断など、それぞれの強みを生かした教育プログラムをつくる。

 全国では合わせて11の養成プランが文科省に採択されている。北信がんプロの事業では、全国平均より15年以上早く少子高齢化が進む地域事情に着目した。意欲のある高齢者が活躍できる環境を整えることは北陸の大きな課題である。早期の発見、治療と社会復帰を支える体制を整えるために、北信がんプロに求められる役割は大きい。

 金大、富大、金沢医科大、石川県立看護大、福井大が2012年度から昨年度まで取り組んだ「北陸がんプロ」の第2期事業では139人の認定資格取得者を養成した。文科省のがんプロ養成推進委員会は北陸がんプロの実績について、チーム医療の推進を目指す取り組みや情報発信と啓発活動などで優れていると評価した。

 その一方で推進委は、各大学の連携による成果が明確化されていないとも指摘している。実績が十分に伝わらなかったのかもしれないが、これから6大学で始める活動の参考にしてもらいたい。

住みよさランキング 地域のイメージ向上期待

 全国の791市と東京23区を対象にした2017年版の「住みよさランキング」で、北陸三県の7市がトップ10に入った。石川からは3市、富山、福井からはそれぞれ2市がランクインしており、北陸三県では昨年の6市を上回る結果となった。

 各種の指標を用いて自治体の魅力度を数値化するランク付けは多数あり、結果もさまざまであることから、ことさらに一喜一憂する必要はない。とはいえ、北陸三県の自治体がずらりと上位に並んだことは喜ばしく、地域全体のイメージアップにつながることを期待したい。

 住みよさランキングは、東洋経済新報社が15の統計指標に基づき「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の5部門で順位を付け、それらを総合してランク付けしている。富山では砺波市が2位、魚津市が6位に入り、石川ではかほく市が4位、野々市市が5位、能美市が9位に入った。

 人口減少に直面している全国の自治体は、施策を総動員して移住・定住者の確保にしのぎを削っている。こうした中、住みよさランキングで高評価を得ることは移住・定住の促進にプラスに働くのは間違いない。特に、全国的に知名度が低い自治体にとっては、高評価を最大限に活用して住みよさを広くアピールできるメリットは大きい。

 ランキングで上位に入らなかった北陸の他の自治体も落胆する必要はない。豊かな自然に恵まれ、歴史と文化に彩られた北陸では、今回の指標には表れないだけで、それぞれの自治体に魅力がある。そうした魅力を磨いていけば住みよさも一層高まり、移住者を呼び込むことができるだろう。

 新幹線の金沢開業で、北陸は全国でも最も注目を集めている地域の一つである。新幹線開業以降、首都圏を中心に多くの人が移住しているが、今回のランキングによって移住先としての北陸の注目度はさらに高まるだろう。三県連携による移住セミナーなど、この機を逃さずに積極的な施策を打ち出していきたい。